りんご

赤いカプセル

『いえ、綺麗なカプセルですね』

朱里は本人かどうか確かめたかったが、周りが気付いて騒ぐと、せっかくの二人のプライベートが壊れてしまうと思い、聞かないことにした。

『え?あ、うん。…ていうか、聞かないんだね?』

玲斗が不思議そうに朱里を見た。

『えっ?』

思わず朱里はそう言っていた。すると、玲斗の隣にいた京也が口を開いた。

『いや、俺ら見て声かけない人って初めてだからさ』

京也のその言葉に朱里は答えた。

『だって二人の名前出すと、周りが騒ぎそうなので。せっかくのプライベートなんだからゆっくり過ごしたいんじゃないかなって。だから、名前出さないようにしたんです。勿論!二人のことは知ってますよ?』