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湯川「たまたまソコのベンチで本を読んでいた。…変な音がしたと思って来てみたら、君が転んでいた。」
内海「…読者中すみませんでしたねー」
湯川「いや。」
内海「あの、…すみませんでした」
湯川「気にしてないから大丈夫だ」
内海「そうじゃなくて…。弓削さんのことです。」
湯川「…」
湯川は無言でどこかを見つめた後、彼女の手を引っ張った。
内海「えっ、あっ?ななな何っ…」
湯川「…」
それでも黙って引っ張り続ける湯川。内海は焦るばかりだ。
やがてついた場所は、人気がないところだった。
湯川「…僕の方こそ、感情的になってしまってすまなかった。」
内海「あ、いや…」
湯川「自身のものだとわかっているのに…妬いてしまうんだ…」
湯川は振り返ると、内海を抱きしめた。そして内海もそれに呼応するように、抱きしめた。
湯川「…式のことだが」
内海「…え??」
湯川「式だ、結婚式。僕としては早く済ませたいんだが」
内海「はっ!?もうですか??お忙しいのはわかりますが…」
内海が呆れるように発言したのを聞いた湯川は、吐息をつき、頭を振った。内海は、なんですか、と言葉を発した。
湯川「僕はよく、鈍感だ、といわれるが、君の方がよっぽど鈍感だ。全く」
内海「な、先生までっ…」
湯川「好意を寄せる人と共に暮らしたいと思うのは、自然のことだと思うが。…持論にすぎなかったか。」
内海「…遠回しな言い方をどうも…//」
内海は照れ隠しをして湯川から離れた。湯川も腕を外して、コットンパンツのポケットに手をつっこんだ。
湯川「そういう君も、素直に喜んだらどうだい?僕は心理学には詳しくないが、明らかに今の君は照れているようにしか見えない。」
内海「照れてませんーだ!そういう先生だって、素直に言ったらどうですかっ」
湯川「根拠云々の前に僕は結論を出した。何が不満なんだい?」
内海「不満とかではなくて!!遠回りしすぎずに、早く同居したいとか、率直にいって欲しいんですー!」
湯川「感情的になるのはよくない。落ち着いて話してくれ。」
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