117人が本棚に入れています
本棚に追加
湯川「……」
草薙「お、湯川。何読んでんだ?」
湯川「…草薙!」
湯川は草薙の顔を見るなり、読んでいた雑誌を隠した。
草薙「隠すことはないだろ笑」
湯川「…いや、なんでもない」
草薙「…なんでもなくないだろ。絶対やましい本読んでたな?」
湯川「やましいなどと…言ってくれるな。」
草薙「じゃあ見せてくれよ」
湯川「…笑わないでくれ」
湯川は隠した雑誌を素直に草薙に差し出した。
湯川が差し出した雑誌、それは―
草薙「げ~!?結婚雑誌ぃ!?」
そう、湯川が読んでいたのは有名な結婚雑誌だったのだ。
草薙は心の中で大笑いした。なんせあの湯川が、結婚などという、もろ欲の出たことを考えているからだ。
湯川「悪いか」
草薙「い、いや…。いいんじゃないか…?うん…。…にしても、変わったな」
湯川「変わった?何がだ?」
草薙「お前、昔は恋愛なんてどうでもよかっただろ?それが今じゃ結婚を考えている。素晴らしい進歩じゃないか」
湯川「…。別に。恋愛に興味なかったわけではなかったんだがな。」
湯川は結婚雑誌を引き出しにしまうとコーヒーを啜った。
草薙「…やっぱ、考えてんだ?」
湯川「…ん?」
草薙「内海との結婚。」
湯川は背を向けると、小さくこくん、と頷いた。
湯川「近い内に話そうと思う。それに指輪も選んである。」
草薙「早いな。」
湯川「…僕自身、驚いてるんだ。…草薙に感謝している」
湯川は草薙に向かってニッコリと微笑むと人差し指を向けた。
草薙「どうして」
湯川「君が内海君と出会う機会(チャンス)をくれた。だろ?」
草薙「…」
草薙は少し黙った後、フッと笑った。
湯川「…どうした」
草薙「さっきお前は、俺がチャンスを与えたと言っただろ?でもそれは違うぜ。」
湯川「?どういう意味だ?」
草薙「…お前と内海が、素直になったから今があるんだよ。だから…俺のお蔭でもないでもない。」
最初のコメントを投稿しよう!