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緊急事態だからか、土方さんは慌ててこの部屋を後にした。
バタバタと足音が遠ざかっていく。
あの土方さんが、こんなに慌てるとは…
結局、來さんも山崎さんも子供用の服は持っておらず、近所の子供に着物を借りた。
小さな手足や指では着物が着にくいらしく、総司はイライラしながら悪戦苦闘している。
だけど甘やかしてはいけない、と心を鬼にしてそれを見つめていた。
およそ20分後ーーーー
只の着付けだけで息切れをした総司は、ポスんとあたしの膝に座り、寄りかかって来た。
「…つ、かれた」
「大丈夫?総司。喉乾いてない?厠は?」
「…大丈夫」
よしよし、と頭を撫でながら尋ねると総司は不機嫌そうに答える。
だけど、元の声が高いからか、全く怖さは感じない。
「てゆうか弥斗さぁ、子供扱いしてんでしょ、僕のこと」
総司の不機嫌な質問に、あたしはギクリとする。
「ソ、ソンナコトナイヨ」
「完璧カタコトでよく言うよ」
ため息混じりの総司の言葉に、あたしははははっと笑っておいた。
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