桜にまつわるエトセトラ

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✨ωなりω✨さん(画) ✨円する✨さん(文) 副題[桜の咲く公園で………] のどかな公園に、春の息吹が訪れる。 「ママ、しゃくらだね。」 母親の背におぶさった金髪の小さな女の子が、やや舌足らずな口調で語りかける。 「そだね。サクラと同じ名前の花だよ。」 母子は、しばし無言で公園を歩く。 「ねぇママ……今度いつ会える?」 「そうだねー、いつになるかなぁ……サクラがいい子にしてたらきっとまた会えるよ。」 ともすれば泣き出しそうになるのを、彼女は必死で堪えた。 環太平洋連合軍の海兵隊中尉である彼女 ――― サーシャ・ムラサメは、130名の部下を率いて明後日には「オオサカ奪還作戦」に参加することとなっていた。 無論、生きて帰れる保証はない。しかし彼女は、娘のサクラに父親の故郷をどうしても見せてやりたかった。 ――― 平和で元気なオオサカを。 満開一歩手前といった薄紅色の桜が、2人をそっと見守っていた。image=448192812.jpg
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