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絵✨蜜柑✨さん
文✨*…さくら…*✨さん
「素敵な絵ね」
「あぁ、ほんとに」
織姫と彦星の絵は、あまり流行らなくなった、商店街のシャッターに描いてある。
誰が書いたのかはわからないけれど、七夕の日の夜、恋人同士でこの絵を見ると幸せになれるって、いつの間にか噂になってた。
だからほら、今、この絵を見てるのは私たちだけじゃない。
花火大会みたいな人混みだけど、一つ違うのはみんな恋人同士だってことだ。
「ねぇ、ここにいるみんな、幸せになれるかな?」
「なれるさ、だって俺たちだって幸せだろ?」
「うん、そうだね……」
「一年に一度だけしか会えないけど、俺はずっとお前を愛してる」
「うん、私も……」
繋いだ手を上にかざすと、二人の体はキラキラと輝き始めた。
その光がパッと弾けて消えたとき、誰かが空を見て叫んだ。
「あ!流れ星!」
空からあの絵を見つけたのは、彦星の方。
私にも見せたいって、地上に降りてくれた。
「また来年……」
いつも泣きながら別れる七夕の日。
でも今年は、あの絵を見たせいか、心がほっこりと温かい。
天の川を隔てたあちらとこちらで、また来年も二人であの絵が見れるといいなと微笑んだ。
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