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幡随院長兵衛は大の字で仰向けになって地面に倒れていた。
「……んっ……」
長兵衛は薄く目を開けた。
目の前に広がるは、青空である。
上半身だけ体を起こし、周囲を確認する。
「どこだ……ここは?」
周りには遥か遠くにのびる地平線と所々に山が見えるだけ。
どうやら日の本ではないらしい。
少なくとも江戸では無い。長兵衛はそう言いきれる。
「あのチョウ蝉とかいう野郎、俺をどこに飛ばしやがったんだ?」
周りを確認しながら、考える。
しかし答えなぞ見つかるはずもなく。
そして更なる疑問が次々と出てくる。
「そもそもあの野郎は何者なんだ?吉原で働く女か男かは知らねェが、あんな奴吉原で見たことはねェし、それに……」
長兵衛は己の体を見る。
「あんだけ傷だらけだった体がなんともねェ……どうなってやがる」
あちこちに傷が出来、血だらけだった体は何事も無かったかのようだった。
今の長兵衛には、あまりにもわからない事が多すぎる。
彼自身がそれを体感していた。
「まぁ、『考えるより動け』だな。考えてても好転しなさそうだしなァ」
そう言って立ち上がろうとしたときだった。
「待ちな、兄ちゃん」
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