541人が本棚に入れています
本棚に追加
取り合えず、両親はいない。
今いるこの家も街から遠く離れた森にあるらしい。
だが、そんな場所で一人寂しく淋しい思いをしながら暮らしている訳ではないらしい。
前述した通り、“僕”は“何不自由なく”この家で暮らして生きてきたのだ。
親の代わりにもなり、こんな家でも寂しくなくしてくれる者。
────メイドだ。
いや、まあメイドでなくても執事や召し使いといった従者なら問題はないのだが。
例に漏れず“僕”の親代わりに育て尚且つ身近な世話役をしていたのはメイドだった。
名前は咲、白銀の目と髪を持ち、容姿端麗という言葉の体言者と言っても過言はない。
動作一つ一つが洗礼され、その動きは精密なまでに美しかった。
それ程の人に育てられ世話をして貰えれば不自由なんてある訳がない。
現状は一様わかったがさてこれからどうするか。
こっちの“僕”は学校に行ってもいないし仕事もしてない。
メイドの咲に勉強はさせられていて、お金が入って来るように仕事らしきことはしているが職に就いている訳でない。
最初のコメントを投稿しよう!