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今の一番の問題はおよそこれだろう。
“俺”だったらこの世界に放り出されたら何も出来ないが“僕”なら逆に何でも出来る。
“俺”が“僕”の記憶を検証した結果、チート、反則、ズルといっても良いほどの実力があった。
勿論それだけ努力した賜物だが。
以上の事柄からこれからの方針を決めた。
────目標なしの目的なしで計画性なしの旅(仮)をしよう。
まあ、あれだ適当にこの世界を見て周ろうぜ、ってこと。
「取り合えず起きるか……」
今までずっとベッドの上でいたのだ、方針が決まったのだから動こうと思った時。
────ガチャ
「失礼します」
唐突にメイドの咲が部屋に入って来た。
「おはようございます、ユート様」
違う、いつも咲は“僕”をご主人様と呼ぶ、それに“俺”と“僕”は名前が違う。
俺がそう考えていると咲は続ける。
「いえ、お久しぶりです、ユート様」
俺の頭の中はもはや混沌としていた。
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