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荷物もあったので運んでもらい、やっと一段落。
お茶を3人で飲みながら、つい目線は父の遺影に。
「私、父に酷いこと言ってしまって…最後にみた父の悲しそうな顔がやきついてます。」
初対面だった部下の方になぜか話をしていた。
生きている父を最後に見た人だからなのか、不思議なくらい自然と素直な気持ちになっていた。
私は喧嘩別れになったあの朝の事を話していた。
部下の方は黙って私の話を聞いてくれていた。
「空さんでしたよね?部長はよくあなたの話を自分にしてましたよ。」
優しい声が私の涙腺を緩めた。
葬儀の時も出棺の時も泣けなかった。
まるで壊れた蛇口のように涙が溢れて止まらなかった。
「それと、確かに会話は最後になってしまったけれど、部長は幸せだって自分に何度も言いながら見せてくれたんです。」
私は意味がわからずにただ後悔の涙を流していた。
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