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「はい。簡単なモノだし口に合うか分からないけど」
「…………いただきます」
メニューはトースト・ベーコンエッグ・サラダ・コーヒーの至ってシンプルな朝食。
手早く仕上げてトレイに乗せると、彼が居るであろう寝室に運んであげた。
部屋に戻れば目覚めた青年は部屋のローテーブルの傍で所在なさげに震えて正座していて、あまりの怯えように僕は思わず噴き出して笑ってしまった。
「おいしい?」
「あ、は、はい!」
「ぷっ……あはは、そんなに緊張しなくても僕は君をとって食ったり危害を加えるつもりなんてないからさ。安心してよ」
「す…すいません……」
(あ。照れた)
恥ずかしかったのか青年の顔がうっすら赤に染まる。
「いいよ、謝らなくて」
安心感を与える為に先程と同じようにニッコリと笑って言えば、上手くいったのかお腹が満たされたお陰かは分からないけど少しだけさっきまでよりは表情と肩の力が抜けたように見えた。
こうなれば後は話を切り出すタイミングさえ間違わなければ大丈夫だ。
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