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「ごちそうさまでした……」
「はい、お粗末さまでした」
丁寧に手を合わせる光景を少しくすぐったく思いながら食器を片付けおかわりのコーヒーを持ってきてあげる。
ホントは部屋が汚れたら嫌だからリビングに移動したかったけど、下手に移動したら青年がまた怯えるかもしれないので寝室のローテーブルの傍にクッションを用意して話を聞くことにした。
「で、落ち着いた所で早速話を聞きたいんだけど……とりあえず名前を聞いて良いかな?」
「あ…俺は橘 蜂星(タチバナ ホウセイ)っていいます」
「蜂星くんか…。じゃあ蜂星くん、最初の質問。昨日の夜、僕の部屋の前で倒れてたことは覚えてる?」
蜂「はい……」
「そっか、じゃあ次の質問。何でそんなことになったか話して貰えるかな?もしどうしても話したくないなら無理にとは言わないけど……」
ここで一呼吸置いて相手の様子を見る。
一瞬ピクッと反応はしたけど、表情はあまり変わらないところを見ると、どうしても話せないという感じではない。
こういう時は相手が話したくなるまでひたすら待っててあげる。
幸い今日は店も定休日で何の予定もないし。
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