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「っ!!!!」
ハッと目が覚めて飛び起きてみると、そこはまだ見慣れない自宅のリビングだった。
どうやら眠気覚ましにコーヒーを飲もうと用意してる間にウトウトしてそのままソファーでうたた寝をしてしまっていたらしい。
(だからって…よりにもよってあんな夢を見なくたっていいのに……)
胸によぎる鋭い痛み。
五年前のあまり思い出したくない思い出だ。
当時付き合っていた幼なじみの男。
生まれた時からの腐れ縁で一番仲が良くて、誰よりも一番傍にいた。
でも今から五年前、そいつは一流のデザイナーになるという夢を叶える為にパリへ留学へ行き、僕は別れの言葉と共にそいつを送り出した。
(あの頃の僕は夢を追いかけてるアイツが眩しすぎて、その背中を押してやることくらいしか出来なかったからな……)
ずっと、誰よりも一番傍にいたからこそ分かる。
いや、分かってしまう。
アイツが、自分の夢にどれだけ本気なのか。
そして自分が、アイツを縛り付けていることにも。
だから別れた。
これ以上夢と自分の間で苦しむアイツを見ていたくなかったから。
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