第一章

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由樹は今にも泣きそうな顔で言った。 「由莉、俺お前に頼みがあるんだけど。」 「なに?」 「俺とタッグを組んで、薄くて高い本を「断る。」 みなまで言わせず、由莉はドアを閉めた。 「痛い痛い!足!俺の足!そして同人誌!」 騒ぐ由樹に対し、由莉は笑顔で言い放った。 「働け。」 死刑宣告でも受けたかのように、由樹は固まる。 由莉はドアを閉め、机に向かった。 やりかけのレポートと、手付かずの原稿が並んでいる。 なんて気の滅入る光景だろうか。 「あ、携帯。」 携帯が鳴っていることに気がついた由莉は、慌ててとった。 「はい、もしもし。」 「あ、早川?園田だけど、今大丈夫?」 「園田君?大丈夫だけど、どうかしたの?」 同じサークルの園田は絵に描いたような好青年で、先輩からも後輩からも人気のある由莉の同級生だ。 「今週の金曜日に先輩が飯食いに行こうって言ってるんだけど、早川も一緒にどう?」 「私?」 「うん。なんか女子を誘えって先輩がうるさくてさ。せっかくだし来ない?」
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