552人が本棚に入れています
本棚に追加
由樹は今にも泣きそうな顔で言った。
「由莉、俺お前に頼みがあるんだけど。」
「なに?」
「俺とタッグを組んで、薄くて高い本を「断る。」
みなまで言わせず、由莉はドアを閉めた。
「痛い痛い!足!俺の足!そして同人誌!」
騒ぐ由樹に対し、由莉は笑顔で言い放った。
「働け。」
死刑宣告でも受けたかのように、由樹は固まる。
由莉はドアを閉め、机に向かった。
やりかけのレポートと、手付かずの原稿が並んでいる。
なんて気の滅入る光景だろうか。
「あ、携帯。」
携帯が鳴っていることに気がついた由莉は、慌ててとった。
「はい、もしもし。」
「あ、早川?園田だけど、今大丈夫?」
「園田君?大丈夫だけど、どうかしたの?」
同じサークルの園田は絵に描いたような好青年で、先輩からも後輩からも人気のある由莉の同級生だ。
「今週の金曜日に先輩が飯食いに行こうって言ってるんだけど、早川も一緒にどう?」
「私?」
「うん。なんか女子を誘えって先輩がうるさくてさ。せっかくだし来ない?」
最初のコメントを投稿しよう!