第一章

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「ほら、早川ってサークルの飲み会とかに来たことないだろ?」 たいてい締め切りを抱えていて、遊ぶ暇がないから と言うわけにもいかないので、由莉は曖昧に笑った。 「バイトとかで忙しいの?」 「え?いや、バイトっていうか、なんというか。」 「金曜日、予定ないならおいでよ!俺早川に来てほしい。」 無邪気な園田の言葉に、由莉は思わず返事をしてしまった。 「うん、行く。」 「マジで!?よかった~!緊張しながら電話した甲斐があった。じゃあまた詳しいことメールするよ。それじゃまた。」 電話を切って、落ち着いてから由莉は気付いた。 いや、ちょっと待て自分。 金曜日ってエッセイの締め切り日じゃん。 遊びに行ってる場合じゃないじゃん。 机の上のノートパソコンの画面は真っ白だ。
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