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「そういえば早川ってなにかバイトしてるの?」
園田が尋ねる。
「へ?」
「いつも忙しそうだからさ。授業終わったらすぐ教室飛び出てるし。」
「ああ……それはまあ……。」
「その。お前いっつも早川さんのこと見てるのか?それってもはやストーカーじゃね?」
宮本がからかうように言うと、園田は赤面して否定した。
「違いますよ!早川、本当に違うから!たまたま見てただけで、べつにいつもいつも見てるわけじゃないからね!」
「あ、うん。」
やはり宮本はいい人だ。
おかげで園田の関心がそれた。
慌てて否定を繰り返す園田に生返事を返しながら、由莉は心の中で宮本にお礼を言う。
そうやってしばらく賑やかに飲み、やがて一次会が終わった。
締め切り前だったため徹夜だった由莉は、眠そうに目をこすりながら丁寧に園田と宮本の誘いを断る。
園田は少し残念そうに笑い、駅まで送る、と申しでた。
夜道を並んで歩きながら、由莉は園田の背が意外と高いことに気付く。
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