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「早川は今度の温泉旅行来るの?」
「えーっと……まだ迷ってるんだ。」
入学したときわけもわからず入部した旅行サークルだが、この一年間全く参加していない。
とくに去年は連載を三本も抱えていたため、旅行に行く余裕なんてなかった。
「ちょっと聞いてみないと。」
由莉はそう言って、園田から目をそらした。
おそらく園田は由莉が親に参加していいか聞くと思っているはずだ。
事実、園田はそう考えていた。
しかし由莉にとっての最大の難関は親ではない。
一條だ。
十中八九彼は
「締め切りは守れるんでしょうね?」
と聞いてくるだろう。
それも満面の笑みで。
想像しただけでも嫌な汗が出てくる。
そのとき
「由莉ーーーー!!!!!」
後方から叫び声が聞こえた。
思わず由莉と園田が振り返ると、由莉とよく似た顔の男が半ベソをかいて走ってくる。
「こらー!!!俺の妹から離れろーーー!!!」
由樹は園田に飛び掛かろうとする。
しかし、飛び掛かる前に、由莉に張り倒された。
「ひぶっ!!」という情けない声とともにうずくまる由樹を、園田は不審げに見つめる。
「早川の知り合い?」
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