第一章

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由樹が鼻息も荒く乗り込んできた。 そして一條の手が由莉の頭にあるのを見ると、顔を真っ赤にし、鯉のように口をぱくぱくさせた。 「おま……!俺の……!手……!」 「いきなり入ってきたりしてなに?」 一條が顔をしかめる。 「お前こそ俺の由莉になに触ってるんだよ!!」 「せっかくいいところだったのになぁ。」 「いいところ!?いいところってなんだよ!!」 「部外者には言えないこと。」 「俺は由莉の兄だぞ!!な、由莉!?」 「……たぶん…?」 「え……。」 一瞬部屋の空気が固まる。 一條は面倒臭そうに由樹に言った。 「で、結局なんの用なの?」
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