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由樹は心底面倒そうな顔をした一條の問いに答える。
「いいか、腹黒鬼畜眼鏡!俺の由莉がいくら可愛いからって、ちょっかいだしたらただじゃおかないからな!!」
「誰がだすか、シスコン自宅警備員。」
「自宅警備員の件は百歩譲って認めよう……。」
「いや、むしろ百歩譲っても認めるしかないだろ。」
「う、うるさい!!とにかくその件は置いておいて……俺はシスコンであることを誇りに思ってる!だからお前の言ったシスコン自宅警備員は俺にとって悪口にはなりませーん。残念でしたー。」
勝ち誇った顔の由樹に向かって、それまで黙っていた由莉が静かに口を開く。
「お兄ちゃん。」
「ん?」
「部屋から出ていって。その足でハローワーク行け。」
氷のように冷え冷えした視線に、由樹が固まる。
「私達今仕事の話してるの。」
「え……でも……。」
「お兄ちゃん?」
「……はい。」
肩をがっくり落とし、渋々部屋からでていく由樹を見送った二人はため息をついた。
「相変わらずですね。」
「兄がお騒がせしました。」
「いえ、いつものことですからお気になさらず。」
皮肉めいた言葉とは裏腹に一條の爽やかな笑顔は、なんだかわざとらしくて、由莉は思わず鼻で笑った。
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