第二章

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静まり返った広場でぼんやりと由莉が座っていると、ポケットの中で携帯電話が震えた。 右ポケットから取り出した最新型の黒い携帯電話は仕事用に出版社から渡されたものだ。 のろのろとした動作で携帯電話を見ると、一條からの着信だった。 どうせまた締め切りの確認だろう。 由莉はそのままポケットに戻す。 携帯電話はしばらくすると切れたが、再び鳴り始めた。 不審に思った由莉は面倒臭そうに通話ボタンを押す。 「はい、もしもし。」 「一條です。先生、今どちらですか?」 「大学ですけど……。」 「たしかこの時間は授業ないんでしたね?」 「はい、そうです。なんですか急に。」 「大学のどこですか?」 「は?どこって…裏の広場ですけど……。」 「10分後に表の門まできてください。それじゃっ。」
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