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しばらくすると一條がコーヒーを持って戻ってきた。
「どうぞ。」
由莉は差し出されたコーヒーを受け取り、口に含む。
「もうそろそろ発表のはずよね。」
三村は腕時計に目をやった。
編集長は目の前のテーブルに置かれた携帯電話を指さす。
どうやら編集長の携帯電話に連絡が来るようだ。
由莉は思わず目をつぶる。
そうでもしないと、本当に心臓が破裂してしまいそうだった。
「一條さん、どうしましょう。」
消え入りそうな由莉のつぶやきを聞いた一條は穏やかな声で答える。
「大丈夫。きっと大丈夫ですよ。」
そのとき部屋の扉が開く。
編集の田村という男が駆け込んできた。
「編集長!!決まりました!!」
由莉の頭の中は真っ白になる。
無意識のうちに隣に座る一條の服の袖を握っていた。
「それで!?どっちだ?」
編集長の問いに、浮かない表情が返ってきた。
「残念ですが……風間彩先生が受賞しました。」
「なんですって?あんた聞き間違えてんじゃないの?」
三村が田村のネクタイを引き寄せて詰め寄る。
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