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「あ~!早乙女先生の新作出てる!!」
「マジで!?」
「ヤバイ!あたし買うわ!」
金髪や茶髪の女子高生達が本屋の店頭で大騒ぎしている。
「ある意味詐欺ですよね。」
眼鏡をかけた背の高い男が呟く。
「……どういうことですか?」
不機嫌そうな女性がその呟きに答えた。
一條は女子高生達が去った後の平積み本を手に取り、由莉に渡した。
「恋人いない歴何年でしたっけ?」
由莉は渡された本を笑顔で一條の鳩尾にたたき付けようとする。
「そっちこそ彼女いないでしょ、この腐れ外道が。」
一條は由莉の攻撃を避けながら、さらににっこり笑う。
「俺は締め切りを全く守らない恋愛小説家の面倒を見させられてるせいで、彼女を作る暇がないので。」
「締め切り」という部分に刺々しさを感じた由莉はくるりと踵を返す。
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