~プロローグ~

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…うん、所詮テレビの占いだし。 テレビを消して、ついでに占いのことも忘れて、俺は家を出て扉の鍵を閉めた。 いつもなら通学路が一緒の友達と行くのだが、今日はあの夢のせいか少し遅くなってしまったので、待っていても会うことは多分ない。 仕方なく、一人で学校にむかうことにした。 「おっ、」 足下を見ると、きらりと光る物体が。 紙ではない、百円より大きな確かな硬貨。 「やっぱツいてるじゃん。俺」 足下の五百円を拾い、交番に届けるなどと不粋な真似はせず、すっと財布に忍ばせた。 自然にニヤけた俺の顔をたまたま通りかかった人が、俺を見て気持ち悪そうに通り過ぎて行った。 やはり占いはアテにならない。 そう想いながら、俺は今日の昼食時間に楽しみが増えたことを喜んだ 。
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