スキマおじさん

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家に帰ると、僕は嬉しさが押さえ切れず、ベットに座りおじさんに今日のことを話だした。 「栗木さん、すごく可愛いんだ。女の子って感じで、小さくて折れそうで、そんな子が僕を誘ってくれるなんて驚いた。日曜、楽しみだよ」 おじさんは黙ったままで僕の話を聞いていた。 僕が不思議に思って「おじさん?」と呼ぶと、やがて、一言こう言った。 「お前、日曜日行かないほうがいいと思うよ」 おじさんの予想外の言葉に、僕はむっとした。 もっと喜んでくれると思ったのに。よかったなって言ってくれると思っていたのに。 「おじさん、やいてるんだろ。自分はそんな隙間からでてこれないから。可愛い女の子と遊びに行ける僕がうらやましいんだろ」 感情にまかせて僕はおじさんに、ひどい言葉を投げつけた。 ドン。 ベットの下から、拳を叩きつける音がした。 おじさんの震える声が聞こえる。 「お前、隙間を馬鹿にしたな。俺は好きで隙間にいるんだ。お前は俺に、なによりの侮辱をしたな。もういい、勝手にしろ」 おじさんを初めて本気で怒らせてしまった。 それでも僕は今さら謝ることもできず、僕の意地もそれを許さず、僕は「おじさんなんか大嫌いだ、隙間から消えろ!」という最悪な捨て台詞までのこして、一階に降りてしまった。 僕はそれから日曜日になるまで、おじさんと一言も話さなかった。 朝になっても僕がかぶらなかった布団がお腹にかかっていることもなかった。 案の定、何度かお腹をこわした。 そして僕は踏んだガムが靴の裏から離れないような気持ちのまま、件の日曜日を迎えた。
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