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ホントに?と辺りを見回してみると、人が多くて私には屋台が見えなかった。セイタ君の身長だと、どうやら人の足と足の間から屋台が見えるらしく、指をさして場所を教えてくれている。でも、私には場所がさっぱりとわからない。
そんな時、セイタ君は私の手を取り早くしてくださいなんて憎まれ口を叩きながら、不器用に屋台まで連れて行ってくれた。私はがっちりとヤクモと腕を組んでいるので、自然とヤクモも私に引かれる形になる。ただ一つ気になったのは、彼が持つリンゴ飴はいつ買われたのかということだ、おかしいな、ずっと腕を組んで屋台から離れて歩いていたはずなのに。不思議に思うもすぐ目の前に現れたチョコバナナの屋台に意識が行き、後から聞く事にした。
「おじさん、チョコバナナ一つください」
「へいよ!」
「あと、チョコパインも一つ!」
「へいよ! ちょっと待ってくれな!」
「おじさん、チョコバナナ一つお願いします」
「任せろぃ! にしてもあんた、よく食べるねぇ」
「はは、お守りは大変ですからね」
「どっちかって言えばこっちがお守りよ!」
順番に食べたいものを注文し、チョコパインを一口あげる代りにセイタ君とチョコバナナを一口貰う約束をしようとしたとき、隣からヤクモが注文をする声が聞こえた。まだリンゴ飴を食べきれてないはず、そう思って手元を見ればリンゴ飴はもう残りわずかになっていた。
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