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それは一瞬の出来事だった。
火に包まれる城。
泣き叫ぶ人々。
「城に火がついたぞっー!!男は全員水を汲んでこい!!」
町の男達が火花の中で叫んでいる。
一方、城の中では、武士たちが走り回っていた。
「火を消せー!」
そう叫んでいる武士もいれば、
「ここは…もう…終わりだ…。」
と嘆いている者もいた。
「殿!下はもう完全に火の海です…。どうされますか…?」
城の上層部では赤の鎧を纏った若い青年と老人が最期の時を迎えようとしていた。
「父上が戦へ向かわれた今日を狙ったのだ。…最後までわしは何もできないのか…。」
青年が口を開く。
「若…。」
老人は悲しげな表情を浮かべ、青年を見つめていた。
「わしはここにいる。最後まで武士でいたいからな。」
青年は目を閉じ、鼻だけで大きく空気を吸った。
「では、私もご一緒に…」
老人も目を閉じ、静かに最期の会話を終えた。
しばらくして、2人の部屋も火に包まれた…。
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