第1章〈任務〉

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「…落ちたか…。」 小松川 業平(こまつがわ なりひら)は燃え盛る城を見ながら静かに呟いた。 「これも我が国のためなのじゃ。許せ…。」 業平は城を見ながら哀れむ。 「む?もう戻ってきたのか?」 赤く光る城の方から漆黒の影が近づいてくる。 そしてあっという間に影は天守閣へ入ってきた。 「ただいま戻りました…。」 月光に照らされた影は片膝をつき、静かに口を開いた。 「よくぞ戻った!竜よ。」 業平は嬉しそうに答えた。 「任務を遂行しました…。」 「ああ。あっという間だったな。さすがは忍者だ。」 業平は人差し指で首の後ろをかきながら言った。 「いえ、我々は任務を遂行するのみです……。それより、次の任務は…。」 「さ、さすがにつかれただろう?少しは休め。」 「いえ、任務をしていないと生きている気がしませんので…。」 「そ、そうか。」 業平はその言葉に驚き、恐怖さえも感じたが、 「では、明日は休め。それが任務だ。」 業平が真剣な表情で言うと、すぐに返事が返ってきた。 「分かりました。では。」 竜は襖を開け、天守閣から勢いよく外に跳んでいった…。 「…バカなの?」 業平は1人で笑った…。
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