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「…落ちたか…。」
小松川 業平(こまつがわ なりひら)は燃え盛る城を見ながら静かに呟いた。
「これも我が国のためなのじゃ。許せ…。」
業平は城を見ながら哀れむ。
「む?もう戻ってきたのか?」
赤く光る城の方から漆黒の影が近づいてくる。
そしてあっという間に影は天守閣へ入ってきた。
「ただいま戻りました…。」
月光に照らされた影は片膝をつき、静かに口を開いた。
「よくぞ戻った!竜よ。」
業平は嬉しそうに答えた。
「任務を遂行しました…。」
「ああ。あっという間だったな。さすがは忍者だ。」
業平は人差し指で首の後ろをかきながら言った。
「いえ、我々は任務を遂行するのみです……。それより、次の任務は…。」
「さ、さすがにつかれただろう?少しは休め。」
「いえ、任務をしていないと生きている気がしませんので…。」
「そ、そうか。」
業平はその言葉に驚き、恐怖さえも感じたが、
「では、明日は休め。それが任務だ。」
業平が真剣な表情で言うと、すぐに返事が返ってきた。
「分かりました。では。」
竜は襖を開け、天守閣から勢いよく外に跳んでいった…。
「…バカなの?」
業平は1人で笑った…。
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