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次の日、竜は自分の家で歩き回ったり、立ち止まったりを繰り返していた。
「休むって何をすればいいんだ?」
「…城へ行こう。」竜は家を出てゆっくりと城に向かって歩き出した。
その頃、城では、一人の女忍者が任務を受けていた。
「それで、私の任務は?」女はまっすぐな目で業平を見つめた。
「今回の任務は、八丈寺の調査だ。」業平はゆっくりと口を開いた。
「八丈寺?」
「ああ。最近あそこに不審な武士を見かけたという情報がある。八丈寺は我等の敷地内であり、村人も利用する。」業平は険しい表情で言った。
「では、村人のために…?」
「そうだ。もしあそこに悪さをしている者がいれば…………殺れ。」
「…分かりました。では行ってまいります。」女はそう言うと外に跳んでいった。
しばらくして、竜が天守閣に駆け込んできた。
「業平様!ご無事ですか?」竜が慌てた様子で聞くと、
「……え?」
業平はぽかんとしている。
「今、女忍者がここから出て行ったので…」
竜が安心した様子で言うと、
「あれはわしの使いの者じゃ。」
「……え?」
竜はさっきの業平と同じ表情をした。
「あれはな、わしの使いで西園寺 赤音(さいおんじ あかね)と言う者だ。お前と一緒で忍びの者だぞ。」
業平は得意げな表情で言った。
「そ、そうだったのですか…。」
竜は呆れたように答える。
「…俺も行かせてください…。」
「ああ、構わないが…」
業平が言い終わる前に竜は外に跳びだしていった…。
これが全ての始まりだということを知らずに………
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