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走ったはいいものの、そんな都合よくバスが出ているわけもなく、待たされることになった。
部活も活動事態には一応昨日から休み休み参加してるけど、激しい動きはせずにほとんどコーチの手伝いをしていたし、準備運動もなしに遠慮なく走ったら堪えた。
バスに揺られながら、なんていおうか考えた。
とりあえず、彼女はどうしたのって聞いて。え、いや、そんなことはどうでもいいか。実はわたしも前から好きだったんだけど、って、言って。は、ずかしいけど。
っていうか吉野はいつからわたしのこと好きだったわけ? いや、いきなりこれってどうなんだろう。でも聞きたい。
森も、こんな感じだったんだろうか。
いや、まさかあの森が告白の前に緊張とかしないか。っていうかあのいい方は緊張してないだろ、どう考えたって。
苦手だった、森のあの見透かしたような顔が浮かんだ。
なんであんなにいい奴なの。
あんなにいい奴差し置いてあのバカザル選ぶとかわたしって本当バカ。バカすぎる。吉野にも劣らないバカ。
でも。
息を吐いて胸を押さえる。
溢れてくる。吉野が好きでしょうがなくて、森に抱きしめられながらそんな意味不明なことを言って、泣いていた、あのときのわたしの気持ちが。
吉野が好き。
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