11トドク

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 なんか。色々バスの中で考えていたけど。 「わたしのほうが絶対吉野のこと好きだから」  言うことなんて、一つだけだ。 「は……?」 「それだけ。じゃあね」  くるっと方向転換すると、吉野が慌ててサンダルを突っかけなおしたのか、ずるずるという音がした。 「ちょ、ちょっと待った!」  手首を掴まれる。たったそれだけのことで、触れた先から熱くなっていく。 「なにそれ。よくわかんないんだけど。え?」  パニックになっている吉野を振り返って、睨みつけるように見上げる。 「だ、だから! わたしはあんたに彼女ができた時点でもうすきだって、思ってたし、たぶんその前から好きだったし、あんなにいい人なのに、森のこと、好きになれないくらい好きで……どうしようもないくらい、ホント、バカみたい」  続きはいえなかった。  次に言葉を発したら、絶対泣いちゃうと思った。  こんなに泣く人だったっけ。わたし。涙腺壊れてる。すぐ泣くのって嫌いなのに。 「うわ、まじかよ」  すとん、と吉野がしゃがみこむ。 「……」 「やばい」 「なにが」 「やばいってこれ。ほんと、やばい」 「だからなにが!」  恥ずかしさを誤魔化すために大きな声を出すと、吉野がすくっと立ち上がって、くはっと笑った。  太陽みたいな、バカっぽくて何も考えてないような、サルの笑顔。 「な、なんで笑うの!?」 「いや。竹中だーと思って」 「はあ?」
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