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と、それで送ってもらっているというわけなのだが。
「恥ずかしい……」
思い出すだけで顔が熱くなる。
「はは。かわいーな竹中は」
「う、うっさい!」
「お? 照れてる?」
「黙れこのサル!」
鞄で叩こうと振りかぶると、吉野が「ゲッ」という顔をして走り出す。
「暴力女!」
「なにさ、あんたがバカなこと言うからでしょ!?」
「こえーっ!」
おどけながら軽やかに走っていく吉野の背中を見ながら、ふと肩が軽いことに気がついた。
花、上。
そう言って森が空を指差したことを思い出す。
「結局、最後までお世話になりっぱなしだなぁ……」
口の中で呟くようにして空を見上げると、オリオン座が出ていた。
冬の代表的な星座。特徴的なかたち。わたしが唯一すぐに見つけられる星座だ。
「なに見てるの?」
いつの間にかとなりにいた吉野が同じように空を見上げる。
「オリオン座」
「へー。どれ?」
「砂時計みたいな奴。あっち」
指をさすと、吉野は目を細めながらその方向を見ていた。
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