12キス

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 と、それで送ってもらっているというわけなのだが。 「恥ずかしい……」  思い出すだけで顔が熱くなる。 「はは。かわいーな竹中は」 「う、うっさい!」 「お? 照れてる?」 「黙れこのサル!」  鞄で叩こうと振りかぶると、吉野が「ゲッ」という顔をして走り出す。 「暴力女!」 「なにさ、あんたがバカなこと言うからでしょ!?」 「こえーっ!」  おどけながら軽やかに走っていく吉野の背中を見ながら、ふと肩が軽いことに気がついた。  花、上。  そう言って森が空を指差したことを思い出す。 「結局、最後までお世話になりっぱなしだなぁ……」  口の中で呟くようにして空を見上げると、オリオン座が出ていた。  冬の代表的な星座。特徴的なかたち。わたしが唯一すぐに見つけられる星座だ。 「なに見てるの?」  いつの間にかとなりにいた吉野が同じように空を見上げる。 「オリオン座」 「へー。どれ?」 「砂時計みたいな奴。あっち」  指をさすと、吉野は目を細めながらその方向を見ていた。
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