2ガールフレンド

5/11
前へ
/123ページ
次へ
「ちっちゃいね、きみ。俺、」  隣の男がわたしの頭を触りながら言った。どき、とこわさに身が竦む。すると、 「美桜子、おまたせ!」  由紀がいいタイミングでやってきた。 「あ、きみこないだの!」  吉野くんが声を上げた。 「どうも。美桜子、行こう」  態度のよくない由紀に、吉野くんの友達が微妙な顔をしたけど、吉野くんは特に気にした様子もなく、「じゃあねー」と言って手を振った。わたしが控えめに手を振り返すと、また笑った。  ほっこりとあったかい気持ちに思わず口元が緩む。 「めずらしいね、美桜子が男子を怖がらないの」  由紀がわたしの顔を覗き込んでいった。 「あ、うん。なんか、吉野くんは、平気」  つたない言葉で途切れ途切れに言うと、由紀はははーんと言ってつん、とわたしの頬をつついた。 「惚れた?」  瞬間、ぼっと顔が熱くなるのがわかった。 「ほほ、ほれ……!」  すると由紀は「やっとか。王子様?」と言って笑った。からかわれたのだと思って、由紀の肩をこづく。 「か、からかわないでよ」 「ごめんごめん。でも、応援するよ。よかったね」  ふわりと、心があったかくなった。 「あ、ありがとう」
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加