1カタオモイ

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 そりゃ、彼女と吉野が一緒にいるところを見るとやっぱり痛かったりするんだけど、でも吉野は変わらずわたしを構ってくれてるし、わたしの一方通行とかじゃなくて、向こうもたくさん話しかけてくれる。  やってることがガキくさいと先輩に言われたりとかしたけど、でもわたしは満足していた。 「いやー、森くんかっこいいよね!」  更衣室で、千代がそんなことを言った。 「また言ってるし、千代」  わたしがシーブリーズを塗りながら、呆れたように言った。  部活のあとの、汗をかいたこの気持ち悪い感じが、わたしは好きだった。そりゃ、すぐお風呂はいりたーいとか思うけど、早く帰ってご飯食べてお風呂入って寝たい、って思える、この程よい疲れ具合が好きだった。  汗をかいた後にぬるシーブリーズの冷たさとか、走った後のポカリとか、更衣室を出て外に出たときの、ひんやりした風が気持ちいいとか、そういう些細なことが好き。 「だってさー、かっこいいじゃん」 「無愛想じゃない? 何考えてるかわかんないし」 「そこがいいんじゃん。いいよねあんた、家近いし、よく話すじゃん」 「えー。ちょっとよくわかんない」  そう言ってワイシャツを着る。汗をかくとワイシャツがつっぱって、うまく着れない。 「彼女いるのかなー森くん」 「さぁ。あんまり聞かないけど」 「つーか花、付き合ってるんじゃないよねぇ?」 「付き合ってないよ」だってわたしは吉野が好きなんだし、とはいえない。 「だってたまに一緒に帰ったりとかしてない?」
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