異世界の第一歩

2/7
前へ
/76ページ
次へ
限りを知らないほど広がる、雲一つなく宝石のように透き通る空。 自らの命を謳歌するように、声高らかに歌う森の鳥たち。 波が、砂浜にぶつかり砕ける音。 空、陸、海。この世界をつくり、これより美しい物などありはしない。 こんな幻想的な場所、めったにお目にかかることはない。しばらくここにいて、この自然を満喫するのも悪くはない。 だが、今俺には他のことを考えていた。 「ここ、どこなんだぁ!?」 俺の叫びさえ、この自然は吸い込んでしまう。なんて懐が大きいのだろう。 「待て落ち着けcalm down.まずは情報整理だ。すべてはそこから始まる。 周りの状況は・・・。砂浜があって向こうに陸繋島にトンボロ・・・、ってんなことはどうでも良い! 日本では、こういう所には殆ど街があるから・・・外国か? 服装は――変わってる?!」 俺が最後に着ていたのは、もっと一般的だったはずだ。こんな麻でできた、奴隷のような服装ではなかったはずだ。 「くそっ、拉致して奴隷にでもするつもりか?というか、ここで放置プレイ?」 拉致しといて、ここに放置。これある意味、拉致より酷くないか? 「他には―――。ん?なんだこれ?・・・・・・木刀に、木の盾か?」 修学旅行の時にひとりは買いそうな、ごく普通の木刀。それと、鍋蓋と区別つかないくらい小さな木の盾。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加