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限りを知らないほど広がる、雲一つなく宝石のように透き通る空。
自らの命を謳歌するように、声高らかに歌う森の鳥たち。
波が、砂浜にぶつかり砕ける音。
空、陸、海。この世界をつくり、これより美しい物などありはしない。
こんな幻想的な場所、めったにお目にかかることはない。しばらくここにいて、この自然を満喫するのも悪くはない。
だが、今俺には他のことを考えていた。
「ここ、どこなんだぁ!?」
俺の叫びさえ、この自然は吸い込んでしまう。なんて懐が大きいのだろう。
「待て落ち着けcalm down.まずは情報整理だ。すべてはそこから始まる。
周りの状況は・・・。砂浜があって向こうに陸繋島にトンボロ・・・、ってんなことはどうでも良い!
日本では、こういう所には殆ど街があるから・・・外国か?
服装は――変わってる?!」
俺が最後に着ていたのは、もっと一般的だったはずだ。こんな麻でできた、奴隷のような服装ではなかったはずだ。
「くそっ、拉致して奴隷にでもするつもりか?というか、ここで放置プレイ?」
拉致しといて、ここに放置。これある意味、拉致より酷くないか?
「他には―――。ん?なんだこれ?・・・・・・木刀に、木の盾か?」
修学旅行の時にひとりは買いそうな、ごく普通の木刀。それと、鍋蓋と区別つかないくらい小さな木の盾。
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