私→彼

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部屋は暗く、明かりひとつ灯っていない。 もしかして私って、かわいそうなんだろうか。 ぽつねんと、電気もつけずに玄関で立ち尽くしていやなことばかり考える。 こんなモテ系OL用の雑誌を買ってしまったのも、男にモテること命っ!って感じの後輩に「ええ~先輩ってぇかわいそおぉー」と連発されてむかついたからだ。 読んだら男みたいにささくれた私もかわいくなれるだろうか、と安易な気持ちで買ってしまった。心無いコトバに相当追い詰められたみたいだ。 なんでこんな日に大きな猫ちゃんがいないのだろう。なんてことだろう。 ぼろっと涙が溢れた。 職場では仕事を男並みに気張る子よりも、最高に女の子らしくてかわいい格好でいてニコニコしている子の方が必要とされているらしい。 男性陣が聞こえよがしにうわさしているのが聞こえてきた。 私は仕事は好きじゃなくても一生懸命に働くのは好きだから、どうしても戦ってしまう。 ニコニコなんてできないよ・・・。かわいくなんて、できないよ。 悲しくて悲しくて、どうなってもいいやという投げやりな気持ちでベッドにもぐりこんで、すんすん泣きながらいつの間にか眠っていた。
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