プロローグ

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『宇宙人だから』なんて理由で空虚は死のうとしたのだ。  そりゃふざけるなと思ったさ。目と目で通じ合えると思うなよと、今更敵意を仰いでも睨めっこじゃ空虚には永久に勝てない。でも、それで時間が稼げるのなら構わない。  空を飛ぶということは落下、つまりは着地をするということだ。少なくとも地球人にとってはであるが、違うというならとりあえずマンションの三階辺りから飛び立ってほしい。  空虚は違う。そもそもあいつは、肯定も否定もせず『宇宙』を目指したらしい。鳥よりも安定した雲。消えない雲はない。ならいっそ、生物のままより高みへ……といった発想だろうか。  俺達は飛べない前提の元、普通の高校生である。普通の高校生たりえる理由が翼がないことだとか、顔が普通だとかは置いといて。それ以上でもそれ以下にも言い方によればなれる、そんな存在。  自称〇〇な登場人物達の詳細は、だんだんと勝手に理解してくれればそれで良い。努力するさ。  オゾン層を突き抜けた世界の外側へ。見えない翼をはためかせることで、見えない宇宙へ辿り着けるとほざいてくれた彼女、俺の隣に座る伊瀬空虚は、ロケットなしで宇宙へ行くのに失敗した自称宇宙人の痛々しい高校生だ。クールビューティー気取りの傲慢系美少女でもある。  これは、こんな電波少女の更正物語……だったらいいなぁと、自称主人公は思うのですよ。
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