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週末になり、僧衣を纏ったよくお葬式で見かける極々普通な出で立ちのお坊さんが来た。
一人で。
大人数で仰々しく来るなり、それらしき女の人が巫女のような格好で、気分が悪いなど言いながらこの家には~と語りだし、悪霊退散!とお祓いをし、挙げ句札を買わされ法外な金額を支払わされ帰っていく予想を膨らましていたので、そのまともな出で立ちに少々姉らには悪いが期待が大きかったのでがっかりしてしまったw
家に来たお坊さんは見たところ50代半ばの背の高い凛々しい佇まいで、家族で丁重にお出迎えしまず客間にお通ししてお坊さんを上座に一人座らせ、向かい合う形で家族(父、母、姉、私)が並んで座る。
お互いに「本日はよろしくお願いします」と挨拶をし、お坊さんが電話で伝え聞いたことに間違いがないか順を追って確認していく。そして、確認し終わると徐に
「それでは始めさせていただきます。」と、まるで四十九日に呼んだお坊さんのようにさっさと流暢に挨拶をしたかと思うと、早速お経を読み上げていく。
ええーwwとは思ったものの、お経の中断を試みる気にはなれず、とりあえず始まったのでお経を聞き流すがまさかこれだけで終わりじゃないだろうな、と心配でそわそわしてしまっていた。
そこで、ちらっと横に座る姉を見ると静かに瞼を閉じお経を聞いているが、やはり母は私と同じように戸惑いからか険しい顔で、眉間のシワからは渋々感が否めなかったww
長い間お経を読み上げていたお坊さんの口から、なぜか父の名前が。
?となりならがら事の次第に任せていると、お坊さんが手にした金色の鈴を手に、父の方角にリンと鳴らし、次に母の名が呼ばれ順に同じことが家族全員に施され、最後にリンリンと2回強く鳴らされ終了となった。
お坊さんが深々とお辞儀するので釣られてお辞儀をし返しながら、母が遠慮がちに
「これで、終わりですか…?」
お坊さんはそう言われるとわかっていたようで、流暢に説明をしだした。
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