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「まだ終わりではありません。」
と、にこりと静かに微笑み、説明を始めるお坊さん。なんだかおっとりしてらっしゃって、若干テンポが遅い。正直、先が早く知りたく軽く苛立ちを覚えるw
しっかり間を持たせてから
「あなた方の見間違えでなければ皆さんがご覧になったのは霊であり、この家に霊が取り付いていることになります。頻度からも居ると考えるのが妥当と思われますね。
そこでまず、霊は人にも憑くと考えられておりますので、霊にとっては人も自分が住む家のようなものですから、どちらに住んでおられるかはこちらからはわかりませんし、どこも出入りは霊の自由ですから、もういないかもしれませんが、聞いていらっしゃることを願い話し掛け、一軒一軒の扉に今し方ノックをしたのです。もし、いらっしゃるのであれば、出てきて下さい。と、呼び掛けさせて頂きました。呼び掛けに答えて出てきてくれれば、このまま仏となり、天に召されるようお導きをします。
よく追い出す為のお経と勘違いされている方が多く思われますが、実際の目的は誘導です。つまり、今ので出てくるとは限りません。」
……。えっ
なにそれつまり?言い切られても困るーwwなにそれ困るーww
とりあえず、家の誰かに憑いているかもしれないので祓って?おいたそうだ。が、当然ここで疑問に思う。
『この世界で有名』な人が誰に憑いてるかもわからないのか?
「それで、あの…実際に女の人は今もこの家に居るんでしょうか?今どこに…?」
これは、姉。気持ち悪そうに辺りを見回す姉。釣られて両親も私も見えない誰かを探すように辺りを見渡す。
しかし、お坊さんからは予想外の答え。
「わかりません。」
えー!?wwちょwwダメじゃんwww
ミラクルな答えが返ってきたので噴きかけたがなんとか堪え、ア然としてる姉と理解に思い倦ねている様子の母に代わり、存在感が薄かった父が若干顔を引き攣らせて
「あの、どういう…?」
ことですか、と問い詰める前に坊さんがまた説明をしだした。
それも、これまたア然とさせられる内容で。
「まず、私は霊を見ることができません。」
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