Chapter1.なんでもないアイツ

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顔を合わせればいつもこんな感じだ。 言葉のキャッチボールというより皮肉のキャッチボールと言った方が正しいだろう。相手の取りにくい球をいかに投げるかが私たちのいつもの会話だった。 そんな会話ばかりなのにたまに付き合ってると勘違いする友達がいる。 直哉はそんな時なんて答えるか知らないけど、私はいつも断固として否定していた。 こんな面倒くさいのと付き合える人には私から《よく我慢できるで賞》でもあげたい。 「さっきから言おうと思ったんだけどー……」 古びた校門を抜けて、もう少しで学校の入り口というところで直哉が私の耳元に顔を近づけた。いつもの直哉の香水がふわりと鼻を掠める。 「頭のてっぺんに、花びら刺さってる」 「え」 私が払おうと頭に触れようとする前に直哉の手が伸びてきて人差し指と中指でそれを挟んで、ほら、とでも言うように見せてきた。 「ぷっ、ダッセー!」 「……うぜー」
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