Chapter1.なんでもないアイツ

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私はどこが良いのか分からないけど、直哉はモテないことはなかった。 今年になって既に三人に告白されたらしいし(スゴく自慢気に毎回それを報告してくるのがただただウザい)、このクラスにも直哉を狙ってる子がいるという話も小耳に挟んだ。 そんな子たちは、直哉とよく一緒にいて普通に話している私のことを羨ましく思っているみたいで、正直言ってこうして当たり前に直哉と並んで話せるのは嫌な気分ではなかった。もはや少し鼻が高かった。 席に着くと、単語帳を片手に涼子が私の隣の席の椅子を引いて座った。 「維澄おはよー。単語テストの勉強した?」 「おはよ。まぁ一応覚えたかなあって感じ」 「えーマジでー?ガリ勉だなー」 「直哉と同じこと言わないでよ」 「木下くんと朝一緒だったんだ?」 「たまたま、ね」 「良いなー」 「冗談でしょ?」 「はははっ」 涼子の言葉の意味も特に気にせず、からかってるんだなというくらいで、一時間目の教科のノートをスクバから取り出してから復習に単語帳にざっと目を通していた。
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