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「やった、やっとお昼だぁ」
教科の間の十分休憩を除いた四時間、ほぼ座りっぱなしで固まった身体を伸びをしてほぐしてから、机の横に掛かっているお弁当袋をひょいと取り上げて、いつも通り涼子と優と机を合わせる。
私と涼子が既に箸を握って目の前の弁当に取り掛かろうとしている最中、優はそわそわした様子で
「あの、ちょっと行って来るね」
と、青い布で包まれた少し大きめの弁当箱とともに席を外した。
なんだなんだ、と興味深気に彼女の後ろ姿を目で追うと、教室の端の方で彼氏の宮内くんにそれを恥ずかしそうに手渡していた。
「おアツいですな」
「えぇ、教室がピンク色に変わりましたよ」
ボソリと呟いた涼子に私も激しく同意をすると共に、彼氏がいるってなんか良いなあと素直に羨ましく思った。
小走りで戻って来た優は俯き加減のまま黙って自分のお弁当箱を開き、私たちは黙ってそのお弁当箱を覗き込んだ。
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