真っ暗先で

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そりゃあ、両目を塞いだら見えないのは当たり前さ。 それでも前に歩こうって? 馬鹿じゃないの。あたしはそんな器用じゃない。電柱やら壁やらにぶつかって痛い思いをするだけさ。 誰だってそんな馬鹿な事はしない。 だけど、あたしはそんな馬鹿になった。 両の瞼に黒い眼帯付けて、あたしはろくに周りが見えない状態で出掛けたり、学校に行ったりした。 勿論馬鹿にされたさ。頭が変とかも言われたさ。 あたしは学校を辞めた。だって授業中にさえ眼帯付けてたからね。黒板なんか見えやしない。先生達からはなんちゃら言われたけど、まあいいや。 家に居る日は増えたけど、だからってスーパーおてんば馬鹿娘であるあたしがじっとするワケがない。 外出する前にも、当たり前の様に眼帯を両目に付け、視界を真っ暗にさせる。慣れました、この暗さ。 そして人間ってのは、何事にも進歩と慣れが引っ付いてくるもんなんだね。 最初は家を出てすぐの階段みたいな段差によって転んだり、あちこち壁にぶつかって痣や怪我をしていたっつーのに。 今はそんな事は全くない。感覚頼りだが、それでもある程度なら近所や近くのコンビニにまで行ける。商品を見つけるときは、流石に眼帯は取るかズラすけど。 でも、何故か家は感覚頼りでも段差踏み間違えたりすんだよなー。ありゃりゃ。
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