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相変わらず真っ暗。
それがあたしの日常の始まりというか、そもそも皆は早朝に起きるという作業を行うよね。じゃあその時の状態は何? 寝てるよね。じゃあ寝るにはどうしてる? 目を瞑るよね。じゃああたしと同じだね!
って変な事を考えながら、眼帯を取ろうとして……眼帯が目を塞いでいない事を、伸ばした手が瞼に触れる事でようやく気付く。
「あれ?」
ゆっくりと瞼を持ち上げる。目をぱちくりさせて辺りを見渡す。
あれ、おかしいな。あたしがさっきまでいた場所は自分の部屋だったのに。
「え、何々。怖いんだけど」
身体に異常が無い事に少し安心する。不安はメチャクチャあるけど。
埃が積もった部屋。一言で言えばそうだが、それだけじゃないのもある。
例えば、今あたしの目の前にある机。この机、妙に新しい。埃だらけの部屋で、この机だけは場所を間違ってますよと言わんばかりに存在感を放っている。埃も被ってないし。
左へ90度首から上を傾ける。カーテンがある。そのカーテンも何故か新しい。
それ以外にも色々とおかしいのがあった。埃だらけの部屋に、物だけが新しいのはなんだか変わった場所だなあ、なんて思った。つーか掃除しようぜー。
「……ん」
と、足元に見慣れた物が落ちているのに気付いた。2つの眼帯が、ご丁寧に並んで床に置いてある。
眼帯を拾い、手で被った埃を払いながら、しかし今付けても意味が無いのでポケットに突っ込んだ。ジーパンで良かった。
ギィ……
「え?……げ」
部屋から行き来する為のドアの先から、古くなった木の床を足で踏み込む事で鳴る音がはっきりと聞こえてしまった。うわ、トラブルの予感。
あたしが踏んでる床も多分新しいんだろう。少し踏む力を強くしてもギシギシ言わないが……多分足音かあたしが物音を「ギィ……」やっべやっべどうしよ!?
「……巧太?」
……え?
「巧太、なのか?」
え、えーと。
「違いますよー」
とりあえず答えてみた。
「!?……誰だ!」
バンっと、ドアが吹き飛ばされる勢いで開かれた。
あたしのお馬鹿。状況をさらに悪くしちゃったよ。
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