593人が本棚に入れています
本棚に追加
(4)
額の手当てをしてもらった後、制服を支給され、1人の女性を紹介された。
「こちらは、藤谷(フジタニ)カンナさんです。あなたの一年先輩にあたります。案内は彼女がします」
「よろしくお願いします」
頭を軽く下げる陽代に、嬉しそうに笑う。「こちらこそ」
ではお願いしますね、と言い残して去る香山メイド長の後ろ姿を見て、彼女は肩をすくめる。
「いつもながら、堅苦しいなぁ…ゴメンね、改めてよろしくね。でも良かったぁ、ようやく一番下の子ができた」
人懐っこい笑みを浮かべる彼女。茶髪のショートで、少し垂れ目に目元のほくろが印象強い。
(今のところ、歓迎されてるな……安心安心)
「あの女史…とゴメンね、香山さんは陰でそう呼ばれててさ。まあ、言葉使いはヤレこうだとか、掃除の仕方がザツだとか。髪が茶色っぽすぎるって注意されちゃてね…まあ、前瀬さんは髪も黒いし、大丈夫だね」
藤谷カンナは、歩きつつ、そうだとささやく。
「前瀬さんは、まあ特にきつい配置だしねー、精神的に。私だったら絶対無理」大きく頭を振り、「いくらハンサムな主人だって、性格がひねくれてて口が悪いのはお断り」
「ハア」
最初のコメントを投稿しよう!