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よっぽどのひどさなんだなあと、思い知らされる。
メイド達が住む別棟は、立派な造りだった。部屋の内部にはキッチン、風呂、トイレ(ウォシュレット!)、作り付けの棚、テレビ(もちろん、デジタル対応!)、ミニテーブル、おまけに1人用のソファー。今までいたボロアパートの2DKよりも、贅沢な広い部屋。
(急に広いところなんて、居心地が悪いような…)
キョロキョロと不審者のように室内を歩き、そうっとテーブルの前に膝をつく。そして両肘をのせて、呟いた。
「なんだか落ち着かないなー」
制服を一応ハンガーにかけ、眺めた。これを私が着るんだよねぇ…とつくづくと見つめる。
「…似合う、か、?…どうだろうなぁ。こういうかちっとした服なんて、高校以来かも」
ううむ、と想像していると、トントンと扉のノックする音が聞こえる。はい、と言いながら開けると、藤谷カンナが立っていた。
「ごめんね、案内したばかりなのに。…香山女史が呼んでるみたい。どうやら新人研修をするらしいわよ」
「ハア」
「制服に着替えて、屋敷へ戻ってね」
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