新しい生活へ

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…多分、20代前半。 季節を間違えたような服装と、似合わないセミロングの茶髪姿。"お前はキムタクか?"とつっこみたくなる。完全に名前負けである。 対称的なこの2人が、上司と部下の関係だとは、誰も思わないだろう。 「これでいいんです、別に。それより早く出発して下さいよ。こちらは覚悟してきてるんですからね」 陽代は口を尖らせて茶髪男を睨む。桂木はうひゃ、と呟き、上司へささやく。 「あいつ目がすわってますよ、ヤバイっす」 「まあそれ位の方がいい…あのお坊ちゃん相手ならね」 微かに笑い、鳴る携帯をポケットから取り出す。ちょっと失礼しますと一旦車から降り、耳につけた。 「ご安心を。上手くいきそうです。あなたの目の上のたんこぶを排除するチャンスです。私はあなたの味方ですよ」
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