浄化

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浄化

今僕らがリヤカーを引いて歩いているのは、延々と細く伸びる白い道の上。 いや、どうだろう、周りの景色全てが真っ白なので、本当に自分達の歩いている地面を道とは言いづらい。 今歩いている場所がただ、他と比べてほんの少しだけ段差のように、盛り上がっている、という気がするだけなのだ。 不安だ………。 このままこんな、真っ白な空間を歩いていって、僕らは一体、何処かへ行けるのだろうか。 何処かへ、辿り着けるのだろうか。 そんな空間にいる僕らは、世界の大きさを知らない。 知ることは、できないかもしれない。 いいんだそれでも。 僕らはそんな、ちっぽけなことを気にしながら旅をするわけには、いかないのだから。 だって、関係ないじゃないか。 他の場所のことなんて。 自分達がよければいいに決まってる。 世界はなぁ、愛と憎悪と嘘と裏切りの自己満足でできてんだよ。 世界何て知らない癖に、な。 駄目だ、もう何も考えたくない。 頭の中も真っ白になってきた。 ある意味それは楽なのかもしれないが。 そんな、頭の中真っ白な僕、錆切 瞬駆は旅人です。              (Sabigiri Mahaku) 相方の夏銘 羽治羽と旅をしている。    (Kamei Uchiwa)
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