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捻くれ
よかった。
まだページは続くみたいだ。
続けてくれるみたいだ。
ここからは僕の好感度をぐんぐん上げていっちゃいたいと思いますよ、ええ。
僕が、鰻登りの権化と呼ばれ続けていることから、それはもう想像するに難くない。
「いや、何時から呼ばれてんだよ、誰も呼ばねぇよ」
……………。
さっきから何だか、僕の心が羽治羽に筒抜けになってる気がするんだけど。
「羽治羽、君、実は読心術が使えるとか、お前の心の所在などお前以上に知っている!とか、そういうことなの?」
「まぁそれ、遠くはないね」
「はぁ?」
どういうことなのだろう。
ちょっと怖いんだけれど。
「瞬駆の心はモニタリングされてるから」
「え、何故!?どうやって!」
実はもう、なんとなくわかっているのだけれど、とぼけてみよう。
さぁ、自慢げに語るがいい、僕を驚かせたという優越感に浸るがいい。
「はっ!リアカーに心情をスキャンされて、それがリアカーの色に反映されてんだから、細かく解析して活字に変換するのも、音声に変換するのもできるでしょうが」
羽治羽の方を見上げて見ると、頬杖をついてこちらを見下ろし、A4サイズの薄い端末をヒラヒラと見せつけるように振っていた。
よく見ると耳にはイヤホンらしきものもついていた。
僕も欲しい。
「何と!科学はそんなにも進歩していたのか、よもやびっくりだ!顔文字にしたらΣ(っ゚Д゚;)っだ!女子高生大好きのこの僕が、流行に後れることなどあってはならない筈だ!!」
「時代錯誤な旅人が何を言っているんだよ。女子高生が舐めたいくらいに大好きだけど、気にしてないだろ、流行なんて」
「まぁそうだけどね。でも一ついいか、僕は女子高生を舐めたいなどと言っちゃあいない」
訝しい視線を向けられている。
「思ってはいるでしょ」
「思ってはいる」
僕は嘘がつけない人間なのだ、好きなものを偽るくらいなら死んだ方がましだ!
チクショー、何だか酷く虐められている気がする。
だいたいさぁ、ずるいんだよあいつは。
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