捻くれ

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「ひゃあっ!?」 そんな素っ頓狂な声を、僕はあげていた。 もしも漢字に変換したら、『冷ゃあっ!?』になっていただろう。 何故なら、ばらまかれたのは実弾ではなく、水だったのだから。 どういうわけかはわからないが、全く、わからないのだが、どうやら、温情判決をいただけたらしい。 よかった、びしょびしょになった胸を、ほっと撫で下ろした。 普通に全身冷えてしまった。 自業自得だ、仕方ない。 むしろよくこれで済んだものだ。 正直、釘バットくらいは覚悟したが。 うん、実に何より。 ゾクゾクしたぜ。 あ、でも流石に、謝っておいた方がいいか。 勝手に覗き見、盗み聞きされていたとはいえ、酷いことを思っていたのは事実だ。 ここで謝らなければ、僕は本当に男ではなくなってしまうだろう。 あくまでも真摯に、何処までも紳士に、だ。 「ごめんなさい羽治羽さん。お詫びに食事でも、どう?」 羽治羽は今、仁王立ちのままそっぽを向いていたのだけれど、僕の言葉に首だけ振り返った。 「べ、べつに最初から、怒って、ないし」 ちょっと膨らんだ頬と睨む目が、僕にはまだ不満そうに見えたけれど。 次に、身体ごとこちらに向き直って、 「ふん、いいだろう。ごちそうされてやろう」 ニヤリと笑んで、そう言った。 ふぅ、遅くなってしまったけれど、ようやく食事ができる。 僕は一旦リヤカーを停めて、食事を用意する。 まぁ用意すると言っても、ボタン一つでほぼできてしまうのだけど。
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