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時は、草木も眠る丑三つ時―――。
今では珍しい、人の手が加えられていない森の奥に、一軒の小さいが立派な屋敷が、建っていた。
屋敷は、一か所だけ、灯がついていた。
部屋の壁には、色々な薬品が並ぶ棚が三つ置かれている。
部屋には薬品独特の匂いが広がっている事から、そが医務室である事が、分かった。
部屋には棚以外にベッドが四つ置かれてある、以外なにもなかった。
ベッドには、それぞれ四人の子供が、規則正しい寝息をたてていて、四人が四人とも、酷(ひど)いケガを、おっていた。
ベッドの傍らには、一人の女性が、イスに座っていた。
白銀色のストレートロングヘアは、毛先が地に付くほど長く、瞳の色は、右が赤、左が蒼のオッド・アイ。肌は、透き通るような白さ、黒い肩掛けの下に銀の光沢のある純白の、裾と袖の長い衣を、纏う。
首からは、十二の誕生石がついた、ネックレスをつけていた。手には黒光りする、杖が握られ先端に金色の環がある。
女性が杖で床を、付くと硬い音が辺りに響き渡り四人のケガが、全て綺麗に直った。女性は、直ったのを確認すると、杖は忽然と姿を消した。
「気が付いた?」
女性は、子供達が目を覚ましたのに、気付き声をかけた。
『ここは……?』
子供達は異口同音に掠れた声を出した。
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